秋田旅行日記

6 月 16 〜 18 日、2 泊 3 日で秋田旅行に行った。

金曜、羽田から秋田空港に飛び、国際教養大学中嶋図書館で仕事をする。
素晴らしい設計で開放的でありながら読書や勉強に集中できる作りになっていた。
書架の間々に小さな一人用ソファが置かれており、気になった本を手に取りそのまま読み耽られるようになっていてこれもよかった。

ランチはコモチヅキへ。
お米とお味噌汁がとても美味しい。唐揚げも鮭も手がかかっていて丁寧な味で嬉しくなる。

田沢湖まで移動し駅近くのホテルにチェックイン。
仕事を終えた後に近所を散歩する。青々とした山にもやがかかっているのが美しい。
二重窓や風除室、室外機が高い位置にあるのを見て豪雪地帯を感じる。

宿に戻り churb でやっているパターン、Wiki、XP の読書会に参加する。
今我々が当たり前に前提としている原則を無から生み出したアレグザンダーに畏敬の念を抱く。
「自然都市と人工都市」というテーマがありその境界線について物思ったり、「失敗」と「成功」について物思ったりする。

夕食は目当てにしていたお店が閉まっており近所の鮨屋に入る。
ホッキと鯵が美味しかった。遊びは秋田ではなく盛岡へ行くとか大人数で車で行って帰りは代行を頼むとか地元民の酒の飲み方の話を聞く。

明けて土曜、朝食後に散歩をする。旅先の散歩は何もかもが目新しく楽しい。
PWX を読んでいると街や建物に興味が湧くので散歩の楽しみが増す。
田沢湖周辺は徒歩スケールではなく車スケールであることを感じる。昨晩の大将は「1 家に 1 台ではなく 1 人 1 台」と言っていた。

バスに乗り乳頭温泉郷へ向かう。始発から終点まで客は 1 人きり、車窓の風景が楽しく贅沢な貸切気分を味わう。
蟹場温泉はいわゆる昔ながらの湯治宿。岩風呂、木風呂、露天風呂とあり、それぞれ独立した棟になっている(ので都度服を着る必要があるのが不便)。
木風呂は落ち着く空間で物思いに耽るのに、露天風呂は遮るもののない自然の中で湯に浸かって全てを忘れるのに向いている。

温泉を梯子し妙乃湯へ。こちらは一部リノベーションされており現代的な建物になっていた。
露天風呂が混浴だが女性はバスタオルを巻いてよいとのことで出てみると目の前に先逹川が流れており、絶景で時間を忘れる。
どちらも都内では味わえない体験で他の宿にも行きたく後ろ髪をひかれながら田沢湖へ向かう。
2 〜 3 時間風呂に浸かっていると何もかも湯に溶けてしまったような心持ちになる。

ORAE でランチに自家醸造の湖畔の杜ビールを頂く。天涯が一口目は爽やか、温度があがるにつれてコクが出てよかった。食事はココットクロケット(コロッケ)や甘くないマフィンなどの盛り合わせをもらう。いぶりがっこのヨーグルト漬けが爽やかで食感も楽しかった。
季節毎に特製ビールを作っており、冬季はホットビールとのことで俄然再訪したくなる。

食後は田沢湖遊覧船に乗る。船。湖。楽しい。正直車窓に湖が見えた瞬間からテンションはマックスだった。
場所によって水の色が違い、ペルシャンブルーと言われる青が美しい。
水飛沫にジブリ映画を感じて、あの表現はこれが元だったのかと得心がいく。
ちなみに山にかかるもやを見て蟲師を、霧を見て ICO を思い出した。今回の旅はそういう体験が多かった。

駅に戻り、電車で十文字の宿 Camosiba に向かう。
荷物を置いて少し散歩に出るつもりが OK, ADAM という面白い名前の店に吸い込まれる(Camosiba と同じ運営)。
ハードサイダーの醸造と提供をしている。あまり飲んだことがなく甘いイメージだったがイメージが変わった。ベリーと合わせロゼワインのような複雑な風味のものもあり面白い飲み物だった。「ビール・日本酒などに加えハードサイダーを選択肢のひとつにしたい」といういい話を聞く。醸造家の話も出て、ビールやハードサイダーも設計なんだなと面白くなる。
宿のバーで〆にと白米と味噌汁を貰う。しみじみ旨い。

翌朝も散歩。飲食店や商業施設があり田沢湖駅と趣が異なって楽しい。
横手に移動する。横手川近くの街路樹が立派でぎょっとする。
横手城はお城山と呼ばれるらしく横手公園(山)の中にある。公園は広大で緑深く静謐で素晴らしかった。

石坂洋次郎記念館に立ち寄り、ランチを食べた後に旅行の目的である朗読劇に向かう。
軽妙な掛け合いと兼ね役を演じ分ける技術が素晴らしく、自分自身との掛け合いが実現されていたのが印象的だった。
アフタートークで「アニメと朗読劇の違いはオリジナリティ」「声の情報量」といった話が聞けたのもよかった。
雨続きの旅行だったが、会場を出ると快晴が広がっていた。水田に映った山が美しかった。

総じてよく歩いた旅行で、最終日の歩数は 3 万歩超だった。無目的に歩くとセレンディピティがあっていい。土地のことを少し知った気になれるのもいい。
旅行に行くとその土地のことが好きになる。秋田のことも大好きになった。今度は寒い(でも寒すぎない)季節に行ってみたい。